今回は、KOUが5年ほど前に内側側副靱帯を痛めた時に撮影したMRIを用いて、前十字靭帯を画像を用いて観察していきたいと思います。
うちがわ○×※靱帯と呼んでしまった方は、画像読影法①を参照してから是非このページを読んで頂けるとより分かりやすいかと思います。
MRIの画像の向き
MRIやCTなど、画像を見ていくうえで画像の切断面をまず説明したいと思います。
画像の切断面の向きによって3種類に分かれています。
- 矢状面(Sagittal サジタール)
- 冠状面(Coronal コロナ―ル)
- 横断面(Axial アクシャル・アキシャル)
サジタール
身体を前後に貫く向きに切断したもの。身体全体を真横から見る向き。矢が貫く向きであることから、矢状面と言われている。
コロナ―ル
身体を腹側から背側にかけてスライスする向き。身体全体を前から見るイメージ。頭蓋骨の冠状縫合から名づけられている。
アクシャル
身体を水平面と平行にスライスしたもの。頭の上から覗き込む向き。
MRIで分かる膝の構造
では、MRIを用いて、膝の何が分かるのでしょうか。実際には、MRIではレントゲンで分かる骨の構造に加えて、血管の走行や、筋肉、神経、靱帯といったほぼ全てのものを丸裸にできます。
しかし、MRIは、靱帯を薄くスライスして撮影したものなので、スライスが厚いと細かいものは見えにくくなります。
ここでは、膝のスポーツ整形分野でMRIを用いる構造物・疾患を、学生であるKOUなりにまとめていきたいと思います。
構造物としては、
- 靱帯
- 半月板
- 骨
また、靱帯と一括りにしましたが、膝周りには
前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)、後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)、内側側副靱帯(ないそくそくふくじんたい)、外側側副靱帯(がいそくそくふく)という4つの靱帯で構成されています。
また、半月板とは、大腿骨と脛骨の膝関節面にある軟骨でできたクッションの役割を果たす組織で膝の運動で欠かせないものです。
また、骨においてもレントゲンでは見えにくい小さな骨片や、骨挫傷と言った骨の打撲のような跡が見えることもあるので、このあたりに要注意して、観察していく必要があります。
MR画像Iの種類
MRIの画像には、身体のどの部位に注目するかによって、画像の色の配分が異なってきます。Magnetic Resonance Imaging の略称で、核磁気共鳴画像法と日本語では言われますが、MRIが最も馴染み深いものでしょう。しかし、電磁気を用いて原子を振動させて物質の違いを把握すると言った複雑な原理であり、その原理を網羅している医学生、敷いては医師はごく一部かと思いますので、最低限の知識だけを紹介したいと思います。
MRIは見る部位によっても用いる画像法が異なるので、ここでは膝で撮影されるものに限定していきます。画像で白い部分は高信号とよび、黒い場所は低信号と呼びますが、分かりにくいので白黒で表現します。
- T1強調
- T2強調
- T2*(スター)強調画
- プロトン密度強調
- 脂肪抑制
前提として、T1とT2は表と裏の関係であり、T1で黒い場所は、T2では白く、脂肪成分と水成分が無い部分は黒いという事を頭の片隅において、それぞれの利点に注目していきます。
T1強調
脂肪が白色で示され、水分が黒色で写ります。身体の構造を見るのに強い。
T2強調
T1の反対で、脂肪が黒色、水分が白色で表れます。黒より白の方が見えやすいため、病変の発見に強い。損傷に伴う出血も白く描出される。
T2*強調
T2強調と同様に水分を白色に表示される。関節液を基準として最も白く表示されるようにしているため、より小さな損傷を発見しやすい。
プロトン密度強調
T1とT2の中間的な立ち位置。軟骨成分が得意で、膝では半月板の評価に用いられる。
脂肪抑制
文字通り、脂肪による信号を抑えたもので、T1と一緒に用いた場合は脂肪の高信号のシグナルが抑えられ、黒く表示されます。液体成分と異なった滲出液などが見やすくなるため、炎症や骨折に用いられる。
さいごに
MRIの画像法には様々ありますが、正直分かりにくいです。基本のT1とT2で、なにが高信号の白色になるか程度の知識で診断する上では問題ないでしょう。
私KOUは、「T2はみーずー」で水が高信号という小学生の様な当てつけで覚えています。
次回は、今度こそ正常ACLを見ていきます。
MRIのキーワードとして、連続性となめらかさ、どちらかがおかしいと思ったら、その勘が正しいです。