スポーツ障害 腰痛 椎間板ヘルニア

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スポーツをやっている選手において、多くの人が悩ませられる体のトラブルが、腰痛でしょう。慢性的な痛みにより、プレーのクオリティにも影響を与えるため、なかなか厄介な怪我の1つでしょう。私KOU自身も腰痛もちで、椎間板ヘルニアの経験もあり、自分の周りの友人にも、競技を問わず多くの人が、腰のトラブルを抱えていました。

腰痛に悩まされているのは自分だけ?と感じてしまう人もいるので、腰痛について掘り下げていきます。

腰痛とは

一般的には、腰痛と言っても4タイプに分類されており、外傷による腰椎の骨折による障害、すべり症などの腰椎の骨のトラブル、椎間板のトラブル、筋肉・靱帯系のトラブルと分けられます。

椎骨の骨折というと、首の骨・頸椎の骨折が有名であり重症疾患であるためよく耳にしますが、腰椎でも起きますが稀でしょう。しかし、ここでは、若年者のスポーツ障害で多く見られる、筋肉系と椎間板によるトラブルに注目していきます。

腰痛で悩まされる人はどれくらい?

アスリートの38%が、腰痛に悩まされているという報告があります。

日本の社会人野球選手の89.5%が腰痛に悩まされた経験があるとも答えています。MRIの画像によると、59.7%の選手で椎間板ヘルニアの所見が見られ、35.1%がL5/S1で、22.8%がL4/L5のヘルニアであったようだ。

椎間板ヘルニアについては、後程触れますのでお待ちください。

また、バスケットボールにおいては、NBA選手において怪我を調査した研究によると、足首の怪我の割合14.7%に次いで2番目が、10.2%で腰のトラブルであったようだ。その7.9%が筋肉系、椎間板ヘルニアの割合が0.9%と、バスケットボール特有のねじる運動と、ジャンプによる腰への負荷、コンタクト時による衝撃で、腰のトラブルが多いとまとめられていました。

サッカーに関しては、日本のサッカー選手での研究で76.6%腰痛を自覚しており、一般人の有病率の53.3%と比較しても多いとという結果になっていました。イギリスのユース世代の怪我の3%が腰のトラブルで、コンタクト時の腰の痛みが大半を占めていたようだ。

ラグビーに関しては、文献が少なかったのアメリカンフットボールでの文献で失礼する。しかし、アメフトとラグビーではタックルの方法が異なるので、参考程度であろうし、腰のトラブルに関しては個人的な感覚ではアメフトの方が多いように感じます。

アメリカのNFL選手の約31%が腰のトラブルを持っており、そのうち28%が椎間板ヘルニアによるものであり、L5-S1が最も多く、次いでL4-L5であった。受傷機転の多くは不確かだが、ブロック時とタックル時の障害が多く、ポジションではオフェンス・ディフェンス両方のラインマンであった。コンタクト時の障害が8割であったが、2割ではノンコンタクト時で急な方向転換時の損傷が多かった。

このように、スポーツの種目やポジションによっても異なるため、各個人に合わせた治療が大切になるようです。

筋肉のトラブルによる腰痛

筋肉系による腰痛は、上記で述べた他の3つのトラブルを除外したうえで診断されるもので、腰回りの筋肉自体の損傷または、その筋肉が腫れる事で神経を圧迫したりすることで症状が現れます。こちらの場合は、安静や柔軟などのストレッチを行い痛みのコントロールをしていきます。

椎間板ヘルニアとは

一般的に背骨と呼ばれる、椎骨の椎体間に位置する椎間板は、髄核を線維輪で囲う構造となっており、脊椎のクッションの役割と脊椎の運動を可能にする役割を担っています。

線維輪の加齢性変化や外傷などの外部からのストレスにより髄核が線維輪から一般的には後方に脱出し脊柱管を圧迫し神経症状が生じる現象を椎間板ヘルニアです。

脱出した椎間板の位置に応じた痛みや痺れ、脱力感や、部位により排尿・排便障害(膀胱直腸障害)が生じる。この痛みの経験が筆者はあるが、L5-S1間のヘルニアで右足太ももの裏から下腿外側つま先にかけての鉄やすりで擦られているような電撃痛であり、2~3日寝たきりになった事を覚えているので、忘れもしないだろう。

加齢性変化としては、重いものを腰の高い位置で持ち上げる行為や、姿勢の悪さ、長時間の着席などが挙げられるが、若年では多いスポーツ外傷による椎間板ヘルニアが一般的である。

下肢進展挙上Straight Leg Rising test(ラセーグ徴候)や大腿神経伸展Femoral nerve stretching test、腱反射の程度を用いて神経症状の程度を検査し、レントゲンやMRIで形態の検査を行う。

治療法としては、安静、鎮痛薬やコルセット、痛みが強い場合の神経ブロックなどを用いた保存的治療が一般的で、2~3カ月経過しても効果が無い場合などに手術療法が検討される。開創して行うLOVE法や内視鏡下や顕微鏡下による椎間板切除による減圧術、レーザーを用いて髄核の圧を下げてヘルニアを戻す方法PLDDなどがある。

ここで、問題になるのが保存的治療か、手術療法どちらを選択するかという点です。

椎間板ヘルニア 保存VS手術

一般的には保存的治療で80%は軽快すると言われています。私の経験としても、起き上がった直後の無理な体勢でタックルをしてヘルニアの症状が現れ、2・3日痛みでほぼ寝たきりに近い状態になりましたが、自分の大学で軽いヘルニアと診断されました。その時は、こんな痛いのに軽いヘルニアですと言われ、💢っとした覚えがありましたが、見事に2~3日で痛みは軽くなり、3週間ほどでラグビーができる程に回復していたので、保存療法の選択で間違いないと思いました。

しかし、論文で面白い内容もあったので紹介したいと思います。

論文による治療成績

保存的治療で患者が満足する競技レベルまで復帰したものが81%であったが、手術成績としては、競技種目によって異なったようだ。

アメリカンフットボールのNFLの選手では、保存的治療と比較して直視下による手術により術後の出場試合数や競技年数が伸びた。

しかし野球のMLBの選手においては、NFL選手と逆の結果となり、出場試合数・競技年数も低くなるという結果になった。手術の選択により復帰までの時期が8.7カ月かかり、保存的治療の3.6か月と比較して長期化した。しかし、治療においてはポジションによって成績が異なり、投手に限っては復帰までの期間に違いは生まれなかったようだ。

バスケットボールのNBA選手では、保存治療と手術治療の間でその後のキャリアは変わらなかったとしている。

しかし損傷時期の年齢も術後の競技年数にも影響することも挙げられるため、様々な要素を考慮する必要があります。

競技復帰を症状の改善と競技特有の可動域の痛みなしでの獲得とした場合とした時、手術を行った場合、術後3,6,12カ月での復帰率としてはそれぞれ50%、72%、84%であった。しかし、38~65%の選手で術前の競技レベルに復帰することが出来なかった。

保存的治療を選択した場合では4~12週の安静が必要とも述べられていました。

現在の顕微鏡下や内視鏡下の低侵襲治療の確実性は未だ決定的ではないが、軟部組織への低侵襲手術は早期復帰と競技時間にも影響が出たと考えられていました。

このように、競技だけでなく、ポジションによっても保存治療と、手術療法で、怪我からの復帰が異なってくることは興味深いかなと感じました。

さいごに

今回報告した内容は、競技レベルの高いプロに限った話が多く、全てを鵜呑みにすることは危険でしょう。

中学生から高校生や大学生、人数が少なくなかなか休養することが出来ない事情や、人数が多くスタメンを勝ち取るために少し無理をせざる得ない事情など様々あるのも事実です。

本当に危険な場合は安静にする必要がありますが、うまく付き合っていくことも大切ですが、その前に怪我をしないように予防もしっかり取り組むことが大事でしょう。ストレッチや、準備運動、背筋と腹筋のトレーニングなど、そしてKOUが怪我した時のような無理な体勢でのタックルをしないような心構えも大切でしょう。

でも、試合中とっさに体が動いてしまうのも事実でしょう。怪我をしたその時は「安静にしたい」と言うのも、大事な勇気です。

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