ACL断裂記 その10 気持ちの変化

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手術する病院が決まり、手術日は12月25日に決まり、術前リハビリが開始しました。

今回は、実際に前十字靭帯損傷の診断が決まった診察からの気持ちの変化について紹介していきます。

死の受容

人の死の受容について、エリザベス・キューブラー=ロスという精神科はそのプロセスを5段階に分けて説明しています。

一般的には、癌の告知後に気持ちの整理する過程を説明するのに用いられるものです。

第1段階:否認=死に直面している事実に対し、それを理解しようと試みるが、感情的にはその事実を否認し逃避しようとする

第2段階:怒り=自分が死ぬことを理解したが、「なぜ自分が死ななければならないのか」と反発し怒りを覚える

第3段階:取引=神や仏など信仰にすがり、何とか命を伸ばしたい、死から逃れたいと思う。

第4段階:抑うつ=信仰にすがったが、それも報われず、死を逃れられない事を悟る。

第5段階:受容=今までの死を拒絶していた段階から、死を受け入れ今生きていくことに前向きになる。

以上の5段階が、医療の現場でもよく用いられている。

怪我におけるロスの5段階

怪我をしたことで、死ぬという事は一般的にはないですが、前十字靱帯損傷や、もっと重症な症例となると脊髄損傷の様なものもあります。治癒可能なものから、現在の医療では不治の怪我もあります。

しかし、その怪我後の気持ちの変化は、ロスの5段階の過程を踏むように感じた。この過程は、怪我をした当の本人にも理解してほしい事であるが、その周囲の人にも分かっておく必要があると思います。

例えば、子ども世代の怪我では、怪我の事を分からない周りの子ども達の一言で、傷付くことも考えられますし、心のケアはスポーツ医療の世界でも今後求められる物と私は実際に怪我をして感じました。

KOUの場合の5段階

こここからは、私KOUの場合の5段階を紹介したいと思います。怪我への考え方も人それぞれですし、1例と思って参考にして頂ければと思います。

否認期。とりあえず1週間、立ち直れず菅平から帰って、1日病院に行った以外はずっとベッドの上で突っ伏してふて寝をしました。そして、ひたすらに泣いた事を覚えています。これを境に、とても涙脆くなったと思います。

無意識に自分の怪我をした時を照らしてしまっているのかなと思います。そして、この程度でこんなに泣いて、今後の悲しい出来事が起きた時どうなるのか少し不安になる事もありますが。

旅行や遊びの予定も全部流れて。膝の血も抜いて身体的には問題なく動けたはずですが、気持ち的に何もやる気が出なかった事を覚えています。

友人からのLINEも、前向きにさせてくれました。そして、何と言っても親の存在も大きかったと思います。親の性格上、いつもなら「なんで怪我するまで無理したんだ」と叱ってくる所を、流石に落ち込んでいるのを悟ってか、「ご飯をあまり食べないKOUはKOUらしくない、元気だしな」と尻を叩いてくれたの覚えています。

癌と違って、ACL損傷は完治する事ができた、怪我をしてしまった事を悔いても怪我をする前には戻れないので、前向きな言葉を使って尻を叩くことも大事と感じました。

一般的には医療の現場では、共感が求められ、辛いですという言葉には「お辛いですね」という言葉を返す事が模範解答と言われますが、スポーツに復帰したいと考えている人には、「大丈夫、切り替えよう。怪我する前より良い状態で復帰しよう」という煽るような言葉の方が安心感をもたらし立ち直れたような気がしました。あくまでも個人的な意見ですが。

受容期。 ロスの場合は、一番最後の5段階目ですが、私の場合は周りからの励ましもあり、否認のあとに受容がきました。ただ、受容と言うよりは強要というような、「怪我をしたのはしょうがないか、受け入れるしかしょうがないもんな」という消極的な受容でした。しかし、これにより術前のリハビリ頑張ろう、ラグビーができないなら他の事を頑張ろうと言った昇華的な考えに至ることができました。そして、この段階から大学が再開し、必然的に外に出ないといけない、友達に会えると言ったイベントも後押ししたと思います。家に引きこもっていると怪我のショックから抜け出せないので、周りの友人は外に連れ出してあげるのも大事かもしれません。

怒り、取引、抑うつ。これらの感情は、順番と言うよりは入り混じっては消えたり、ふと否認と合わさって急に現れたりするものです。そして、なぜ怪我したんだろうと自問自答にかられます。そして、最終的には来年復帰に向けて頑張ろうと受容に落ち着きます。

死の受容も一方向的には受け入れられるものではないのだろうと思います。

特に、怒りなどの感情は、KOUの場合ラグビーの練習や試合を見ると沸き上がりました。8月に怪我をして9月から12月はシーズンでした。

自分が試合に出れず何もできない状態で見ていると、なんでラグビーができないのか、せめてこの試合だけは出させてくださいと、願うようになりました。

リハビリを行い時期が進むごとに、筋力であったり気持ちの面も回復し、この想いが強くなります。

この気持ちをコントロールできないと、悲劇に繋がるのでこの気持ちを抑えるのも周りの人の役目でもあると思います。当の本人が一番抑える気持ちを理解している必要があるのですが、その境遇になって初めて分かるものですがこれがまた難しいものです。

さいごに

なぜ、気持ちのコントロールが大事なのか、どんな結末になるかは今後紹介していきます。

そして、実際に術前のリハビリはどんなものをしたかも紹介していきます。

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