前十字靭帯の損傷リスクとは

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前十字靱帯を損傷する人は、どういった人に多いのかと言った所に、今回は迫っていきたいと思います。

どうも両膝前十字断裂医学生のKOUです。

損傷しやすい人は?

一般的にはACL損傷の危険因子、いわゆるRisk Factorと言われるものは、

  • 性別
  • 解剖学的因子
  • 神経筋因子
  • 遺伝的因子
  • 家族歴

このようなものが挙げられますが、何を言っているかサッパリなので、1つずつ紹介していきたいと思います。

性別

ACL損傷のリスクと性別の関係性は意外な盲点ではないでしょうか。

女性は男性と比べて2倍以上損傷の危険性があります。このことは、ホルモンバランスの関与が示唆されており、月経周期とACL損傷は切っても切り離せないようです。卵胞期での損傷が多く、経口避妊薬を用いたことがある女性は損傷しにくいと言った結果が裏付けているようです。

解剖学的因子

これは、
脛骨後方傾斜が大きい
顆間窩幅が小さい
ことを指して表現されますがこれまた、何を言っているかサッパリです。

ざっくりいうと、膝周りの骨の形がACL損傷しやすい人に特徴的なものがあるといったものです。

もうすこし丁寧に解説すると以下の図の

中心のNotchが顆間窩であり、その幅が狭い人
また図の下側の骨(脛骨)の膝関節面に接した面が、膝のお皿側から膝裏にかけてゆるやかなスロープになっていますが、そのスロープが急だと損傷しやすいようです。

このように、骨の形と損傷の関係性は不可解であり解明されていない事だらけであり、自分が脛骨後方傾斜が大きいからと言って、気をもむことはありません。

神経筋因子

この内容も難解ですが、端的に言うと体幹や膝周囲の安定性がないと、身体の横ブレが大きくジャンプの着地などで膝の角度が折れやすく損傷しやすいと言ったものです。

また、股関節の可動域が、ようするに体が硬いと損傷のリスクも高いと言った報告もありますが、身体の柔らかすぎることも問題となるようです。

全身弛緩性と言われますが、簡単にチェックできる方法としては、手の親指を反らせて手首に付くような人は注意が必要なようです。

遺伝的要因

この内容は、あるコラーゲン遺伝子や血管を構成するような遺伝子で、ある特定の配列があるとACL損傷の割合が多くなっていたというもので、直接的な因果関係は解明されておりません。

また、人種においても白人である事が損傷のリスクが高かったという発表もなされています。

家族歴

よく病院では、親族に高血圧や糖尿病、癌の方はいらっしゃいますかと聞かれることは多いと思いますが、近年ACL損傷も家族内で損傷したことがある場合は、リスクが高まることが判明してきました。

実際には、家族歴がある人では、無い人と比べると2倍損傷のリスクが高まり、一親等に限ると2.24倍になると言われています。

私、KOU自身も、この家族歴の関与について、3カ月ほど統計を取り研究を行った経験があります。

内容としては、家族歴がある人はどういった点でACL損傷に関係するのかに疑問を持ち、家族歴の有無で骨型に違いがあるのかという仮説を立て、膝周囲を様々測定しました。

実際は、骨の形に特徴は見られないという結論になりましたが、

このように家族歴がACL損傷のどの要素と関係しているかは謎が多く、今後研究が発展していく分野かと思われます。

また、ACL損傷と診断されるようになったのもほんの20年前の事であり、ましてや家族歴がある症例が少ない事も事実であり、調べていくと面白い分野だと私KOU自身は、強く感じております。

断裂経験者 意見としては

ここからは、両膝前十字靱帯損傷経験者であり、数多くの断裂者を見てきた私KOUの個人的な見解としてのRisk Factorを紹介していきたいと思います。

まず、身長や筋力に見合わない、体重過多。一般的に言われる肥満というものです。

BMIが高いと言った表現では、体重が重いような海外の人やトレーニングをしているトップラグビー選手の方が、損傷のリスクが高いということになってしまいますが、そういった事実はありません。

そのため、表現は難しいですが筋力に合わない体重の太り方をしている人に損傷が多いという個人的な感覚があります。

もう一点あげるとすると、X脚の人。もうすこしざっくり言うと、足裏全体を使って走れていない人。
内側に体重がかかっているような人は怪我しやすいのかなと感じました。

またここでも言えることは、靴選びや靴の中に入れるインソールで少しは予防できるのではないかなと、個人的には強く感じます。

もう一度、スポーツをする人は足元に注意してみましょう。

さいごに

ACL損傷に限らず、ほかの怪我や病気全てに言える事ですが、

なにか1つの要因によって引き起こされるのではなく、様々な要因が複雑に絡み合って、怪我や病気が成り立ちます。

その点を理解して、予防に取り組むことが大切ではないでしょうか。

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