ACL断裂 これを見たら疑え

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今回は、KOUの2度の前十字靭帯断裂の経験を踏まえて、これがあったらACL断裂を疑えと言った所見を紹介していきたいと思います。

受傷時のポイント

受傷時のポイントとしては、有名どころだとポップ音と言われる、前十字靭帯が断裂した音が聞こえる事だと思います。現にKOUも一度目の左前十字靱帯断裂時は、ポップ音というよりはバキッというような骨が折れたのかという音が体の芯を駆け抜けたので、この音を経験した場合は十分にACL損傷を疑うべきでしょう。

しかし、KOUの場合、二度目の右足の場合はこのポップ音を聞くことが出来ませんでした。しかし、この時は音を聞くことは出来ませんでしたが、スパイクが人工芝のグランドに引っ掛かり、膝から崩れるような形になりました。この時の体幹は左足の時と違って地面に崩れ落ちるまでの時間が体感的に長く、膝のねじりがより強く感じられました。左足の時は感覚的にはスパンと鋭利なナイフで切られたような、右膝の時は重たい斧で叩き割られたような違いがあったので、ポップ音の有無とも関係しているのでしょうか。

右膝の断裂時は、この後一度立ち直り、ラグビーの試合で、1プレー程続けようとしましたが、ダッシュをしようと踏み込んだ時に、膝崩れという症状でプレー続行は不可能であることを悟りました。続いては、この膝崩れという症状を紹介します。

膝の腫れ

膝の腫れ、こちらは必ずとっていいほどACL損傷に見られるでしょう。これは、ACL組織の周辺に小さな血管が多く存在していますが、その血管が切れて出血するからです。その血液が膝の中にたまって腫れたり、熱っぽさが感じられます。このことは後程紹介する、関節穿刺の内容にも関係しています。

膝の腫れを確認する手技として、膝蓋跳動というものがありますが、膝の腫れは見たらわかるので問題はないでしょう。2度の断裂で、膝が2倍近い太さまで腫れました。

膝崩れとは

前十字靱帯断裂に特徴的な症状として、膝崩れというものがあります。こちらは、膝カックンをされたようになると言った感覚で、前十字靱帯断裂したことで膝が不安定になり崩れ落ちるといったために起こります。

私の場合は、右足で数回ほど経験しました。負傷後に一度プレーを続行し最初のプレーで踏み込んだ時と、受傷の翌週に登り階段を駆け上った時です。

感覚としては、膝が腫れていない時ほど起きやすいと思います。理由としては、膝が腫れている事で、活動性が落ちるので膝崩れが起きる程の動きが出来ない事と、膝が腫れていることでパンパンになるので、逆にある程度安定性が向上したのかなと思いました。また、意識している時は大腿四頭筋に力も加えられているので、膝が前方に押し込まれることで引き起こされる膝崩れの可能性がガクンと落ちますが、不意の時に発生する印象があります。

KOUの場合も、左足は前十字靭帯が切れた状態で5か月ほど過ごし、その間テーピングなしでランニングや、テーピングを付けてラグビーをしましたが、膝崩れの経験がありませんでした。

また、前十字靭帯断裂をしている時も、遊園地などにあるフリーフォール系のアトラクションも問題なく乗れます。高い場所から急に落ちる時に膝が抜けるような、風の抵抗により逆膝崩れの様な症状が出るのではと恐れていましたが、大学の友人に無理やり乗せられた経験があります。しかし前十字靱帯断裂をしても問題なく絶叫系には乗れて、楽しむ事が出来ます。「前十字靭帯 ジェットコースター」と言ったキーワードでGoogleで検索しましたが、そのような情報はネット上に無く、ビビりながら乗らされたのを覚えています。

右足の場合は負傷した1週間以内で、大腿四頭筋に力が加えにくい状態に、電車が出発しそうなため不意に急がないといけないと思い駆け上がろうと瞬間に経験しました。階段で転ぶほどの物ではありませんでしたが、膝の力が急にストンと落ちたような感覚になり、これで右足の場合は前十字靭帯断裂を覚悟しました。

膝崩れを防ぐには、大腿四頭筋の筋力の支えが大切と思いました。そして、階段の上り下りをする時は細心の注意が必要です。

膝の関節内血腫は断裂宣告と思え

膝が腫れていると、近所の整形外科でもその腫れている膝の関節内に針を刺して、中の液体を抜いてくれます。実際にはMRIはその後に撮影する流れとなるので、最もACL断裂を疑う要因となるでしょう。

膝関節は、関節包という大きな袋に囲まれており、その内部は常に少量の関節液で満たされていますが、その内部で問題が起きると関節液の量が増えて膝が腫れるという原理です。

その関節包内の液体を抜く行為を、関節穿刺、プンクと呼びます。つまり、その液体の性状で診断をおおよそ推測が出来ますが、問題は関節包内の疾患に限ります。

透明の液体であった場合、軟骨成分の障害が起きていることが示唆されて、スポーツの現場では半月板の損傷などが疑われます。また、濁った液体の場合は、高齢者に多い関節リウマチや痛風といったあまりスポーツ障害とは関係のない疾患が予想され、化膿性と言って白い膿のような場合は細菌感染が疑われ、こちらもスポーツ障害とは関与がありません。

ここで問題なのが、血性と言い赤い血が混じっていた時が、厄介になります。この場合は重症であることを覚悟しなければなりません。

この血性関節液が見られる病態として、血友病というものがありますが、こちらは遺伝性の病気であるためスポーツとは関係ないと考えなくて良いでしょう。また、骨折の場合でも血性の関節液が見られますが、こちらは痛みも強いはずでレントゲンでも確認できるはずです。また、関節包内には後十字靭帯という靱帯もありますが、こちらの靱帯の単独損傷はほぼ見ることがありません。

といことで、関節包内に残された最後の組織が前十字靭帯であり、プンクで血性の関節液を見た場合は前十字靭帯断裂の宣告と言わざるを得ません。前十字靭帯の断裂と共に、靱帯内の多くの血管が一緒に切れていることに起因します。

では、スポーツ中に起きる怪我として、膝には他の内側側副靱帯や外側側副靱帯、腱や筋肉の損傷で、関節内血腫は起きないのかというと答えは起きません。それらの組織は全て関節包の外側にあり、膝の安定性を高めるために関節包を覆うような構造となっています。そのため、関節包内の疾患とは関係ないというのが理由となります。

そのため、関節穿刺で赤い液体が出てきた場合は、前十字靭帯断裂を覚悟する必要があります。

自己式 前方引き出しテストも+

前十字靭帯損傷を疑う手技として、前方引き出しテスト、ピボットシフトテスト、ラックマンテストというものがありますが、前方引き出しテストは自分でも行うことが出来ます。他の2つに関しては、横になって力を抜いた状態で第三者に行ってもらう必要があり、このテストを行う人の技術力にもよります。

しかし、前方引き出しテストに関しては、力を抜いて膝を立てて座り、膝下の下腿を大腿骨と平行の向きに押し込むとぐらぐらズレることが確認できます。分かりにくい場合は、怪我をしていない反対脚と比べるとより明確になると思います。こちらのテストに関しては、別のページでまとめて詳しく説明します。

しかし、こちらも注意しなければいけないことは、自分の力のさじ加減も関係しているため、膝が前方にズレなかったからと言って、前十字靭帯損傷は無いと言えない事です。

さいごに

自分で、前十字靭帯を疑える事としては、膝崩れの症状でしょう。また、関節液で赤色の血を見た時は、MRIと合わせて診ましょうと先生に言われても、ほぼACL損傷を宣告されたと覚悟しましょう。

損傷は受け入れたくはありませんが、受け入れる必要が最終的にあるので、段階的にも怪我を受け入れるためにも、疑われる症状の知識を身に付けておくことは大切でしょう。

ぜひ参考にしてみて下さい。

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